【教科書採用をご検討の先生方へ】
日本獣医生命科学大学、日本大学、東京農業大学など、農学・獣医系、生命科学系の大学・学部で教科書としてご採用いただいています。農業高等学校、専門学校での採用実績もございます。
採用をご検討いただけます際には、試読を御受付いたします。
生命現象を理解するための基礎となる生理学。本書では、図・写真を多用し、哺乳類の生理学を学ぶ初心者向け、生理学を通じて生命の仕組みの全体像を判りやすく解説した。
【刊行の趣旨】
動物は、体を構成している様々な細胞や器官系を働かせ、また、それらを精巧に連携、調節、統合させながら複雑な生命活動を営んでいます。この様な生命現象を理解するためには、その基本となる様々な器官や組織とそれらの機能について基礎知識を得ることが必要です。
近年の生命科学の進歩はめざましく、複雑な生命のしくみが分子のレベルで詳しく解き明かされつつあります。一方、生命科学の著しい進歩にともない、生理学の専門書の内容は益々盛り沢山になり、また、内容も難解になっております。そのため、動物の生理学を学ぶ初心者にとっては、このような専門化した教科書を学ぶことは容易ではありません。
筆者は、この度、新たに農学部の学生を対象に「動物生理学」の講議をする機会に恵まれたことから、講議資料を作成するために多くの成書を当たったが、筆者の意図する適当な成書が見当たらなかった。そこで、哺乳類の生理学を学ぶ初心者が、身近で親しみやすく学習できる本書の出版を決意するに至りました。
本書では、生理学を通じて生命のしくみの全体像を分かりやすく理解してもらうために、できる限り広範な内容の記述に努めた。また、体の構造が分かって初めて、それらの機能を理解できます。本書では、解剖学や形態学を未履修あるいは十分に学習していない初心者にも理解しやすいように、器官や組織の図や写真を多用しました。
なお、医学や動物科学などの異なった専門分野では、専門用語の名称が異なって使用されている例があるので、できる限りそれらを( )内に併記した。また、内容をより分りやすくするために、文中に(~参照)という表示を多用しているので、十分に活用して理解を深めて頂きたい。
本書が、動物生理学を通じて生命の神秘とそのすばらしいしくみに興味をそそる一助になれば幸いです。
最後に、顕微鏡写真の提供にご協力を頂いたアステラスリサーチサービス(株)中野 健二氏ならびにアステラス製薬(株)泉澤 智子氏に感謝致します。
2019年5月 初版6刷発行
目 次
【目次】
刊行の趣旨 3
第1章 生体を構成する物質 7
1 生体の成分
2 生体物質の特性
第2章 細胞の構造と機能 13
1 細胞の基本構造
2 細胞の種類と特徴
3 細胞周期
4 DNAの複製と細胞分裂
5 遺伝子の構造と発現
第3章 血液と血液循環 25
1 血管系
2 血液
3 心臓
4 血管
5 血液凝固
6 血液細胞
6-1 赤血球
6-2 白血球
7 リンパ系
第4章 呼吸 33
1 呼吸系
2 ガス交換
3 呼吸とエネルギー
4 鳥類の呼吸系
5 呼吸系の異常一呼吸性のアシドーシスとアル力ローシスー
6 肺のその他の機能
第5章 消化と吸収 41
1 消化器系
2 消化器の役割
2-1 口唇
2-2 □腔
2-3 歯
2-4 舌
2-5 咽頭
2-6 食道
2-7 胃
2-8 反芻胃
2-9 小腸
2-10 大腸
2-11 膵臓
2-12 肝臓と胆嚢
2-13 発酵による消化
3 鳥類の消化器系
第6章 栄養と代謝 53
1 栄養素の特性
1-1 炭水化物
1-2 タンパク質
1-3 脂肪
1-4 水分や電解質など
2 代謝
3 栄養素の代謝
3-1 解糖系
3-2 TCA回路(クエン酸回路またはクレブス回路という)
3-3 水素伝達系
4 呼吸商
5 中間代謝
第7章 排泄 61
1 肝臓
1-1 肝臓の構造
1-2 肝臓の機能
2 腎臓
2-1 腎臓の構造
2-2 腎臓の機能
第8章 恒常性の維持 65
1 体液の調節
1-1 体液量と浸透圧の調節
1-2 pHの調節
2 体温の調節
2-1 体熱の生産
2-2 体熱の放射
3 恒温動物と変温動物
第9章 内分泌系と機能 71
1 松果体
2 視床下部
3 脳下垂体
4 甲状腺
5 副腎
6 膵臓
7 生殖腺
8 胎盤
9 その他の内分泌線
第10章 ホルモンと作用 77
1 ホルモンの種類と特性
2 視床下部ホルモン
3 下垂体前葉ホルモン
4 中葉ホルモン
5 後葉ホルモン
6 甲状腺ホルモン
7 ステロイドホルモン
7-1 副腎皮質ホルモン
7-2 性腺ホルモン
8 その他のホルモン
第11章 生殖 85
1 性成熟
2 性周期
3 性周期とホルモン
4 受精と着床
5 胎盤の形成
6 妊娠の維持
7 分娩
8 鳥類の生殖
第12章 泌乳 95
1 乳腺の構造
2 乳腺の発達
3 乳汁の分泌
4 乳汁の成分
5 哺乳行動
第13章 神経系と情報伝達 99
1 神経系の分類
2 シナプス
3 無髄神経と有髄神経
4 刺激と興奮の伝達
4-1 興奮とイオンの移動
4-2 全か無かの法則
4-3 シナプスと興奮伝導
第14章 中枢神経系と末梢神経系 107
1 脳の構造と機能
2 末梢神経系
3 反射
第15章 感覚 113
1 感覚受容器
2 刺激と反応
3 聴覚
4 平衡器
5 味覚
6 嗅覚器
7 皮膚の感覚
第16章 骨格と筋肉 125
1 骨格の概要
1-1 外骨格と内骨格
1-2 骨の構造
1-3 骨の生理機能
2 骨格の発生と成長のメカニズム
2-1 骨の発生
2-2 骨格の各名称
3 動物の歯の特徴
4 筋肉
4-1 筋肉の分類
4-2 赤筋と白筋
5 筋収縮のメカニズム
6 筋肉の特徴
6-1 骨格筋
6-2 心筋
6-3 平滑筋
第17章 生体防御と免疫 137
1 自然免疫
2 獲得免疫
3 リンパ組織と機能
4 免疫担当細胞
5 体液性免疫
6 細胞性免疫
7 主要組織適合性抗原
8 抗原抗体反応
9 補体
10 サイトカイン
11 自己認識と免疫寛容
12 クローン選択説
13 抗体の構造とその多様性
14 炎症反応
15 アレルギー
第18章 老化 147
1 寿命
2 個体の老化
3 細胞の老化
3-1 ネクローシス
3-2 アポトーシス
3-3 有限分裂寿命
4 分子の老化
4-1 DNAの老化
4-2 タンパク質の老化
4-3 脂質の老化
5 代謝と老化
6 老化とガン化、進化
参考図書 154
索引 155
[執筆の分担]
第1~15、第18章 (東條 英昭)
第16、17章 (奈良岡 準)